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個性的なドイツブランドの魅力……ファッション雑貨・小物編

▲中世から刃物の街として有名な、ドイツのゾーリンゲン。

前回は、ドイツのファッションブランドについてお話しました。ドイツのファッションもなかなか健闘していることがおわかりになったかと思います。そこで今回は、ドイツらしさのキーワード、「機能性」「合理性」「質実剛健」の精神が光ったファッションアイテムや雑貨をご紹介しましょう。

まずは、医学や人間工学の先進国らしさが光ったシューズのブランド『BIRKENSTOCK(ビルケンシュトック)』。そう、あの足の裏にピッタリとフィットした中敷きやサンダルで、日本でもあっという間に人気になりましたよね。
『BIRKENSTOCK』は1774年に、シューマイスターのヨハン・アダム・ビルケンシュトックが設立した靴のブランドです。ビルケンシュトックのこだわりは、フッドヘッドと呼ばれる足に当たる部分。それを医学的に確立したのが、整形外科医であったカール・ビルケンシュトックで、1915年には野戦病院で負傷兵のための整形外科靴の制作に従事しながら、ブルーフッドヘッドという独自のフッドヘッドを開発しました。1900年当初は、木製や金属製のフッドヘッドが使用されていたとかで、コルクとラバーでできた、足に優しいブルーフッドヘッドは画期的だったと言えます。


『BIRKENSTOCK』と言えばすぐに思い浮かぶ、あの独特なデザインのサンダルが出来上がったのが1963年。当時は矯正や足のエクササイズの目的で作られたものだったそうです。その後、熱可塑性のサーモコルク製のものが開発され、現在では、世界中で愛用されるようになりました。
「デザインはしていない。自然が作り上げた」
これは、ブルーフッドヘッド、そしてサンダルの生みの親、カール・ビルケンシュトックの言葉です。人の足に向き合うことで必然的に生まれた機能美こそが、『BIRKENSTOCK』の魅力だということでしょう。その精神は今も受け継がれ、ビルケンシュトック社はよりよい履き心地を追求し続けています。これこそ、正にドイツ人魂と言えるでしょう。

靴のブランドでもう一つ有名なのが『Dr.Martin(ドクター・マーチン)』です。
1945年に、ドイツの医師のクライス・マーチンがスキー事故に遭遇し、リハビリ用にタイヤのラバー素材に空気を入れた、世界初のエアクッションソール「ドクター・マーチン・ソール」を開発したのが始まりでした。古タイヤを利用したものであったにも関わらず、そのクッション性がとても優れていたので、1947年にドイツで商品化され、1960年には、その性能に着目したイギリスのR.グリッグス社と技術提携して、最初のブーツ「1460Z」が誕生。ブーツの名前はイギリスらしく『Dr.Martin』。クライス・マーチンが発明したエアクッションソールは「AirWair」と名付けられました。


60年代、『Dr.Martin』は、耐油性、耐酸性、耐摩耗性といった堅牢性が人気を呼び、工場労働者、建築現場作業員、警察、救急隊員などのブルーワーカーから支持を得ます。そんな労働者の靴が若者のファッションとして注目を浴びるようになったのは、労働階級の代弁者として人気のあった、70年ロックを代表するロックバンド『THE WHO』のギタリストでありボーカリストのピート・タウンゼントが『Dr.Martin』の8ホールブーツを履いてステージに立ったことがきっかけでした。マイクを振り回す派手なパフォーマンスとワークブーツは多くの若者達を虜にしたというわけです。

その後もローリングストーンズやクイーンといった大物ロックミュージシャン達がこぞって『Dr.Martin』を履き、モッズやパンクといったストリートファッションのアイコンとして、今でも君臨しています。
『BIRKENSTOCK』にしても『Dr.Martin』にしても、その始まりがデザインではなく、機能性や医学の発想であったことが面白いですね。そして、創業以来のこだわりをずっと守り続けている堅実な職人気質もドイツ的な気がします。

こだわりと言えば、セレブ御用達のラゲッジブランドの『RIMOWA(リモワ)』や、万年筆の代名詞『MONT BLANC(モンブラン)』も、伝統を守り続けて広く支持されています。


『RIMOWA(リモワ)』の基礎を作ったのは、ラゲッジ職人のポール・モルシェク。1898年にケルンにスーツケース工場を設立しました。
彼のこだわりは、軽量性と安定性。当時は木製でしたが、それでも極力軽量であることが重視されていたそうです。その精神を引き継いだ息子のリチャード・モルシェックが、1937年に世界初のアルミニウム製のスーツケースを発売し、これをきっかけにリモワは世界的なブランドとしてハイセンスな人達に愛用されるようになります。そして、他社のスーツケースと一線を画すようになったのは、1950年から発売されるようになった、表面に凸凹のあるリブ加工のスーツケースです。これによって、軽くて丈夫なスーツケースの代名詞『RIMOWA』が誕生!

ちなみに『RIMOWA』というブランド名は、Richard Morszeck(リチャード・モルシェック)とドイツ語で商標を意味するWarenzeichenの頭文字を組み合わせたものだそうです。


その後も『RIMOWA』は開発を続け、2000年には「職人芸とハイテクの融合」というモットーを掲げて、航空機や自動車の製造でお馴染みの素材であるポリカーボネイトを使ったサルサシリーズを開発。耐久性と高い耐衝撃性に加え、驚くべき軽量化に成功しました。自由に動くマルチホイールやTSAロックも導入され、構造はシンプルでありながらカラフルでファッション性の高いサルサシリーズは、女性にも人気ですよね。日本にも、丸の内、銀座、名古屋、福岡の4か所に旗艦店があります。

『MONTBLANC(モンブラン)』はエンジニアのアウグスト・エーベルシュタイン、銀行家のアルフレッド・ネヘミアス、文具商のクラウス・ヨハネス・フォスの3人が、1906年にハンブルクに創業しました。
それまで、インクとペンが別だったものを一体化させた万年筆を、1908年に開発。万年筆のMONTBLANCを商標登録します。そう、今もなお、万年筆= MONTBLANCなのです。MONTBLANCのホワイトスターのマークは、アルプスの最高峰モンブランの山頂を覆う万年雪を現しており、クラフツマンシップの誇りと、最高品質の象徴なのです。また、万年筆の心臓部であるペン先には「4810」の数字が刻まれているのをご存じでしたか? これは最高品質の証として示された、モンブランの標高なのだそうです。


現在MONTBLANCは、万年筆や文房具だけでなく、時計やアクセサリーのブランドとしても有名ですね。いずれも、職人の手仕事にこだわった物づくりの精神が貫かれています。

この他にも、メルセデス・ベンツやBMW、Audiといった車や、カメラのライカ、洗浄機のケルヒャー、機械メーカーのBosch、調理器具のフィスラーやヘンケルス、そしてRUFのような家具など、皆さんが愛用されている製品の中には、魅力的なドイツブランドがたくさんあります。

ドイツって意外に身近……そう思いませんか?

レポート・文 前川 みやこ(コラムニスト・ライフスタイルアドバイザー) 写真提供:OFFICE SHIBA Inc.

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